ベルリオーズは人間的にかなり興味深い性格をしていそうだ。嫉妬心旺盛なのは間違いない。どの楽章にもさわやかさは微塵もない。綺麗なメロディもなぜかグロテスクな背景を感じる。いわゆる変態だ。しかし人を惹きつける奇妙な快感がある。ちょっとT-REXの頃のグラムロックの雰囲気か。そしてなぜか幻想には優秀録音盤が多い。曲のダイナミクスが特に大きいからかもしれない。この曲の特異さはオペラなどとは違って音楽そのもので物語を連想させるところにある。音楽そのものが雄弁に語るのである。低音の動きにはベートーベン的なものも感じる。おそらく当時ベートーベンの影響を受けてない交響曲作家なんていなかったかも知れないが。ベートーベンで言えば田園なんかはこのタイプの音楽かもしれない。意外と時代的にはベートーベンとそう離れてはいない。とするとかなり斬新かつ独創性ゆたかな天才といえるだろう。天才性はワーグナーやジョンレノンクラスかも知れない。

コメント