スポンジの取られたSM58
2005年8月17日 音楽先日、スタジオのボーカルマイクSM58の修理を頼んだ。グリルが交換できないほどきつく締められていたため、それを外す作業と、心無いお客さんに内部のスポンジを剥ぎ取られたもの、外せないグリルを無理やりちぎりとられたもの、合計4本である。グリルやスポンジをはずしたりすることでいい音になると思ってる勘違いボーカリストがいるのかもしれないが器物損壊でりっぱな犯罪である。試すなら自分のでやって欲しい。SM58はどこのスタジオにもある定番マイクで高価なものではないと思われるかも知れないが、大量生産によるコスト削減で実売1万円台を達成した名機である。5万円クラスのコンデンサーマイク等では到底太刀打ちできない音質を誇っている。音色の品格が他を圧倒する。ボーカルマイクとしてのバランスも申し分ない。ジャズ系の女性ボーカルから男性ボーカル全般まで守備範囲も広い。プロのレコーディングでも使われるが、柔らかさや細かい情報量が必要な女性ボーカル等ではコンデンサーマイクが使われることが多い。しかし58がそれらに使えないわけではない。コンデンサーマイク=高級でいい音という迷信が若い宅録派に浸透してるのもあるかもしれない。皮肉にも自宅録音では圧倒的に58が有利になる。まわりの騒音を拾いにくいからだ。ボーカルの音像をきりっとたてて、まわりから浮きだたせるような音が割りと簡単に出来てしまう。ところでグリル内のスポンジをとるとどうなるか?中低域がかなり減り音は細く貧弱になる。これを歯切れがよいとして使うのなら安いカラオケ用のマイクを使ったほうが良い。名機はへたにいじるものではないのである。
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