上質の甘さSleeping gypsy by Michael Franks 1977
甘いものは好きだ。映画も音楽もアイスもケーキも。でもあるラインをこえると下品で気持ち悪いだけのものになってしまう。そのあるラインは人によって異なるが、自分の場合は許容範囲は広めだと思う。リチャードクレイダーマンは聞けないがアンドレギャニオンならOK.スーパーのおいなりさんは甘すぎて嫌だが、家でつくるものならOK.アメリカ製のチョコはもたれるが国内産なら結構いける。マイケルフランクスのスリーピングジプシーは実に心地よく何回聞いても飽きない一生ものの輝きを放つ数少ない名盤だ。声を張り上げないあくまでジェントルなボーカル。スムーズなメロディライン。だが実はちゃんと唄える日本人は少ないであろうと思えるくらいのテンションの連続。洗練された都会的なアレンジ。Produceはトミーリピューマ、アレンジャーがクラウスオーガーマンとくれば甘さと洗練度の頂点だろう。ブラジルに思いをはせたボサノバタッチの曲が続くがアントニオカルロスジョビンに捧げたアントニオの歌が有名だ。昔日本のサーカスというボーカルグループがTVでこれを歌ったとき、歌い終わった後のインタビューで難しいと連発していた。他にジョアンドネイトに捧ぐという曲もある。他のアルバムではヴィバルディに捧げたヴィバルデイズソングという曲もあった。とにかく捧げることが尊敬の証といえるようなほんとに謙虚で優しい人柄なのだろう。ギターを弾きながら唄うシンガーソングライタータイプだがギター片手に気軽にこんな上質なメロディを生み出せたらなんて幸せだろうなと思う。松崎しげるとはレベルが違う。やはり流れてる血が違うせいだろう。

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