ここ数年、昔手に入れたCDのリマスター盤が出てるので何枚か購入して聞き比べたことがある。ポールマッカートニーのBand On The Runは70年代の録音だが、90年代にリマスターされて再発された。音は劇的に変っている。中低域の厚みがまして解像度が増してボーカルがウオームにクローズアップされていた。最新録音とほぼ変らない出来栄えに驚いた。豪華なBOXもので発売された。2000年に入って購入したのは1982年ころ出た大瀧映一のロングバケーションこちらも名盤だ。80年代に出たものはサウンド全体を聞かせるようなバランスだったが新しいのはボーカルにスポットが当たったようなAORと言った感じの音だった。いずれも確かに音は良くなっている。歪み感が少なくなり、ボーカルに血が通うようになりリスナーとヴォーカルの位置が近くなったような雰囲気は共通するものがある。しかしその後この2枚はあまりかけることはなく、オリジナル盤を続けて聞くことが多い。それは懐かしさや個人的な思い入れなのかもしれない。しかし何かしっくりこないことも確かなのだ。レコード音楽は記録の意味もある。昔のぼけた写真もいまのデジタル技術でクリアーな写真に生まれ変わるかもしれない。しかしそこに意図的なものが感じられてしまう。時代を超えて復元される事はすばらしいことだ。しかしオリジナルと雰囲気が違った場合人々は戸惑う事になる。上記の2枚は印象があまりに変りすぎていた。もっともオリジナルな音はその時のMIXROOMのSPから出た音を聞いてた人しか知らないわけだから、自分たちリスナーがオリジナルと認知するのは最初に購入したCDやLPの音しかないわけだ。また、たくさん出回っている事を考えるとスタジオの音より出回ってるCDの方をオリジナルと考えるのは自然な事のような気がする。
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