暇にまかせてそこらへんにあった未開封のCDを気が向くままに聞いてみた。買ったはいいが聞く暇がなく眠っていたアルバムだ。

まずはロジャーニコルス&A Circle Of Friendsの95年に発売された「Be Jentle With My Heart」。ロジャーニコルスと言えば70年代にカーペンターズの「愛のプレリュート」゛とか「雨の日と月曜日」とか、ポールウイリアムスと組んで名曲の数々を作曲した名作曲家だ。自身も67年のアルバム「ロジャーニコルス&A Circle Of Friends」の超名盤によって音楽クリエ-ターや熱心な音楽ファンには有名だ。28年ぶりのこのアルバムは話題にはなったが、いまいち評判が良くなかった。

早速聞いてみよう。まず音が悪いのは、短期間で作られたことを感じさせる。日本人とアメリカ人の違いというか、金は適当にかけて(売れ線のVOを使って)大雑把につくられた印象がある。全体にリバーブが多くかかっていて厚化粧なんだが、解像度はまるでない。昔の有名な作品も多くリメイクされていてそれなりの歌手が唄っているが、やはりカレンの深みのある歌唱に慣れてる耳では安っぽく聞こえる。評判通りの駄作だった。才能も枯れ果てたというところか。同じ意味でポールウイリアムスがカムバック盤を出していたが、こちらはかなりの力作だったので余計に残念だ。

次にムーディブルースの「Keys Of The Kingdom」ムーディブルースは70年代に「サテンの夜」だったかな?あと忘れたが2枚くらいLPを持ってた気がする。自分のその頃と被るのだが、暗くて湿ったイメージでいつかここから抜け出したいが抜け出せない、それが自分の人生なんてイメージで聞いていた。

さてこの盤だが、歌い方が一部ジョンレノン風である。音的にも大部救われて、独特のほの暗さはあるが絶望的なものではない。発売されたのは91年、ジャステインヘイワードは健在で彼の曲がほとんどだ。あれから20年、ドラマティックな暗さはなくなり、その分独特の魅力も半減したようだ。Produce,MIX,Recordをトニービスコンティーがやってるせいか所々にBEATLESやジョージハリソンのサウンドが垣間見える。シンガーソングライター、ジャステインヘイワードのアルバムと考えても良いかもしれない。

次はジョーイモーランドのCD「ピルグリム」。92年のアルバム。ジョイモーランドといえば悲劇のバンド、BADFINGERの生き残りだ。サウンドはムーディブルース同様明るくない。BADFINGER時代はバラッドのピートハム、ロックンロールのジョイモーランドという印象だったが、バンドで見える個人の資質は当てにならないと思う。ピートとトムエバンスにかすんでしまっていたジョイの曲もなかなか良かったのだ。味のあるバラッドを書いている。音もなかなかボトムが太くて中高域のスパイスが心地よい。BADFINGERを髣髴とさせるのりの良い曲もいくつかある。トラベリングウイルベリーズっぽいPOPでキャッチーなNO4はシングルカットされたのだろうか?全体のサウンドはBADFINGERそのものと言ってよいのではないかな。もしこのアルバムにピートハムの曲が入ったらもろBADFINGERだろう。

次はアメリカの「ハットトリック」アメリカはアメリカ人3人のバンド名だ。「名前のない馬」の大ヒットで一躍有名になったアマチュアっぽい優しいサウンドをもったバンド。日本ではアメリカのオフコースと言われたこともあった。ヒット曲も多い。3人とも曲を書き、それぞれ異なる個性を持っていた。ハットトリックは72年の作品。大ヒットした後だけにコーラスでビーチボーイズのメンバーが参加している。そういえば話は反れるが日本ではピンクレディのアメリカ録音にA面国産、B面アメリカ産のアレンジがなされた「波乗りパイレーツ」という曲があった。B面ではビーチボーイズのコーラスが聴ける。アメリカのこのアルバム、1曲目のマスクラットラブが抜群の出来だ。オリジナルではなくカバーなのだが、アレンジのセンスがいい。

もう年が明けてしまう。最後にベートーベンの第9を聞かなくては。来年もいい年であればいいと思う。

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