TRIO FONTENAYの演奏でCD2枚組みに6曲収められている。レーベルはテルデック。ドイツプレス。最近はCDのトレーにはこのアルバムが入れっぱなしである。

ピアノとヴァイオリンとチェロという構成で、音数が多すぎず常に楽器の音色をピュアにスピーカーから奏でる。これが五重奏くらいになると、各楽器の音色も重なりあって、純粋な楽器の音というよりアンサンブルの音色になってくる。弦楽器が多数あると音色の重複があるので仕方がない。だからピアノ三重奏曲くらいだと、楽器の音も音楽も両方バランスよく楽しめる気がする。

音楽は軽快で生き生きとした部分としっとりと歌わせる部分が聞き手を飽きさせない絶妙のバランスで奏でられ、それはピアノコンチェルトの陰影感をそのまま引継ぎ、さらにピュアに聞き手の近くにさらけ出すようだ。モーツアルトの作品はケッヘル番号が若い時ほどシンプルでピュアで美しく、晩年になるにつれ深い味わいが付加されていくように感じる。例えばピアノコンチェルトの9番や20〜27番なんかがいい例かもしれない。

最近の私のシステムはCDトランスポート〜DAコンバーター〜真空管バッファ〜チャンネルデバイダー〜パワーアンプ3台〜SPという構成。DAコンバーターには高精度なクロックが乗せられ、真空管バッファと一体になっている。だから上流は結構シンプルだ。所謂CD〜AMP間のRCAケーブルはなしだ。出音には結構満足してるが、1ヶ月まえには不満だらけだった。たった1箇所、DA〜チャンデバ間のケーブルを変えて素晴らしく変化した。

最初は太目の単線でやや固めの音だった。それで3〜40年代の3種類のVINTAGEより線でRCA〜XLRの変換ケーブルを作ってつないでみたが、ややソースを選好みするのと、ムーディで柔らかな音で抜けが悪くすっきりしない。ただしなやかさは出てきたのでしばらく聞いていたがあまり音楽を聞いてて楽しさが感じられなくなって、手持ちのワイアーの組み合わせをいろいろ考えていた。

過去にRCAケーブルを作って好結果を得ていた、やはり1940年代の0.3mmのブラックエナメルを+側に、0.8mmの同じくブラックエナメルをマイナス側にXLRの1と3は最高級のVINTAGE単線でショートさせた。すべて単線だ。結果は劇的に好転した。何を聞いてもずっと聞いていたくなるような、あらゆる要素がいい次元で満たされた音になった。ただし見た目はワイアーが裸でぶら下がっている(エナメル絶縁されてるのでショートはしない)という、いかにも頼りなさそうなケーブルだし、いずれはシルクで被せたいと思いつつそのままになっている。

オーディオやってて幸せを感じるのはこういう時だなあ!と実感する一時だ。

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