ムーディーブルースの69年のアルバム。邦題は「夢幻」。
69年と言えばBeatles解散の頃か?
アビーロードやLet it beのころだっけ?

ムーディーブルースは私的には大学受験の頃、「サテンの夜」とか
「失われたコードを求めて」等よく聞いていた。あまりいい想い出はなく、
そのほの暗くなま暖かいサウンドが当時、自分の暗い生活と重なって、
未来にやり場のない虚しさと重苦しさを感じさせたからだ。

英国のサウンドを代表するようなぶ厚い中低域と霞漂うようなソフト
タッチの中高域。たとえば米国70年代のJBLサウンドやウェストコースト系の
音とは正反対の音と言っていいかもしれない。

しかしだからと言って嫌いなのではない。高い見識と伝統に裏づけされた
確固たる信念を持った音作りと思うこともある。そのキャリアの中、サウ
ンドが見事に統一されているのも凄い。そして味がより深いのである。

さてこのアルバムは2000年代に入ってCDで聞いたものである。いまから
40年も前のアルバムとは到底思えない音の良さを誇る。音楽の内容も濃い。
Beatlesからの影響か組曲構成になってる。トータルアルバム。しかも
「A Day In The Life」のドラムフレーズがそのまま出てくるのが面白い。

これをプログレの範疇で語るのはどうかと思うが、ピンクフロイドやジェネシス、
キングクリムゾン、イエスのようなバンドと同じ売り場にあってもおかしくはない。
しかしやはり、キャッチーなメロディが難解さを微塵も感じさせず、かと言って
いろんな仕掛けも多く、録音もこっていて、聞き応えのあるPOPアルバムと
感じるのだ。

最近のお気に入りの1枚だ。





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